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「何だここは!?障害者がやけに多いじゃねぇーか!!」と言い放ったほどの男であったが、到着直後に眼鏡が壊れしまい、慌てて立ち寄った眼鏡屋に行った時に店に貼ってあったポスターには…「眼鏡はあなたの力だけではどうしようも出来ない状態の眼を補助するための道具です」 クリーニング屋や理髪店や農家や、商店やスーパーマーケットの入り口と商品全てや、レストランや学校などにも同じような内容が書かれたポスターやシールなどが貼られていた。
数日後、風邪を引いたので薬局に行った。 薬局には「薬は、自分だけではどうしようも出来ない状態の身体を改善したい人のお手伝いをするためにある物です」。
少しは良くなったものの、症状が治まらないのでフラフラするのを我慢しながら歩いて行った病院には「病院は、自分で何とかしたいけど自分の力だけではどうしようも出来ないあなたの身体や心を治す手助けをする場所です」。
診察が終わったので帰るために乗ったタクシーには 「タクシーは、あなたの移動を補助するために走っています」。
鉄道やバスやマイカーやバイクや自転車などにも同じ事が書いてあったのを見ながら帰宅した若者。
数日後、病気が治ったと思ったら本社から緊急の海外出張を命じられ、急いで準備をして空港へ。
入り口には「飛行機は空を飛べないあなたを補助するために存在しています」「通訳は言葉のやり取りが難しいあなたを補助するために存在しています」ロビーに貼られている世界地図には「食物や水を得るための道具は人間の力だけでは得ることが出来ないことを補助するために作られています」。
搭乗手続きのカウンターにこんな内容が書かれたポスターが。 「クリーニング屋や理髪店や農家その他と、商店やスーパーマーケットやそこで売られている商品と、レストランと学校と薬局と病院その他と、鉄道やタクシーやバスやマイカーやバイクや自転車や飛行機その他と、食物や水を得るための道具と、眼鏡と車椅子や義手・義足や杖や通訳や手話や点字本などとの違いはなんだと思いますか?」
若者はそこで初めて理解した。 「世界中のどこに行っても障害者ではない者はいないってことか!!俺も含めて!!」
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11:28, Tuesday, Feb 11, 2025 ¦ 固定リンク
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